恐らくこの頃のエレキギターと言うのは、楽器としての完成度 としては最悪のものだったかも知れない。 スタイルは、フェンダーやギブソンの形をちょっと真似して 手を抜けるところはとことん抜いてある、そんなギターだった。 フレットはいい加減だし、ノイズはでるし、弦高はむやみに 高かったし。 多分、この頃のギターが現在あったとしてもビザール的な価値は あるかも知れないが、楽器的な価値は皆無だろう。 第一、材質がベニヤとラワンでは良い音が出る訳がない。 作って売っている方も、エレキギターなぞは楽器じゃないと 思っていたのだから性質がわるい。 グヤトーン(正式社名:東京サウンド)の前橋工場ルポと言う 記事を雑誌で読んだ事があるが、その頃ここで生産したエレキ は1年で30万本、作っても作っても間に合わない状態だった。 挙句は、ブームに乗ってモグリのようなメーカーが大量に 発生して、粗悪なエレキギターを量産しだした。 それで、元が悪い品質がますます粗悪に成り、業界も生産量 が判らないほどだったと言う。 まだ、エレキギターを持っていなかった私は、中学生のころ やっと新品のフォークギターを買ってもらった。 メーカーは、モーリスと言ったか?値段は9800円位だった。 今考えると、この頃はまだ、フォークやクラシックギターの 方が楽器的には良く出来ていた。 お粗末で高いエレキギターを買わなくて良かったのかも知れ ない。少なくても、フォークギターなら不良とは言われずに 済んでいたから。 |