録音機材の遍歴

1970年以前

私の音楽活動と録音とは何故か切っても切れない関係にあるので、ここでは録音機材について解説してみる。
1970年以前、まだ私がギターを弾き始めたばかりの頃、何故かそこにはすでに録音する為の機材が存在していた。
あたかも、楽器の演奏と録音とが同じ意味を持っていたかのようにだ。
それはどうも幼い頃夢中になって聞いていたビートルズの音楽と密接な関係があるように思える。
私がギターを弾く理由というのが、ビートルズのようなサウンドを作りたいと言うものであって、そこには必ずと言って良い程録音技術が介在していた。
この時使っていたのがソニオマチックG/1とカレッジ・エースと言うテープレコーダーだった。





しかし、この当時すでにステレオが登場しており、モノラルのテープレコーダーでは多重録音が出来ないので親に強請ってステレオのテープ・デッキを買ってもらった。
それはL、Rが別に録音できるので先に録音したLチャンネルを聞きながらRチャンネルを録音するなどのテクニックが使えて嬉しかった。

1970〜1980年頃

そのうちカセット・テープレコーダーが出現したのだが、最初は音が悪く使う気にならなかったが、手軽に録音できるのでアイデアが出来るとメモのようにラジカセに録音するようになった。
後からその音を右チャンネル、もう1本のギターを左チャンネルと言うように多重録音するようになり、次第にエフェクトを使い始めたりして作品を作るようになった。
エフェクトと言ってもエコーチェンバーで、右だけエコーがかかっているとか凄いサウンドだった。
その頃、バンドで使う為にミキサーを買ったのだが、残念ながら画像が無い。それはヤマハのYesと言うミキサーで、何故かリバーブやリズムボックスが付いていて便利なものだった。

 

1980〜1990年頃

 
  
  
 
この頃になると、4Trのオープン・マルチレコーダーも出てきて多重録音がミュージシャンの間に広がり出して、どんどん機材が増えていった。
最初は友人にカセットの4Trレコーダーを借りて録音をやっていたが、やはり自分のが欲しくなった ので少しは音質が良いオープンの4Trレコーダーを買ったが、ノイズリダクションが付いていなかったので余り音は良くなかった。
この当時の機材は、レコーダーがティアックの22−4、ミキサーがm-09、マスターデッキがLo-dのカセット・デッキ、歌にリバーブが掛かっていないと寂しいと思ってリバーブ付きのミキサーを使ったり、ホーク技研のリバーブを秋葉原のジャンク屋で探してきたりと、必死に機材を購入していた。


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この頃は、自分で作った曲のアレンジも凝って来て、リズムも自分のイメージ通りにしたいのでプログラマブルのリズム・マシーンを導入した。
今度はリズム・マシーンに凝り出したりして、どんどん泥沼にはまっていった。

1983年頃から出現したMIDIと同時に、リズムマシーンとシーケンサーが急速に発達し始めてきた。
最初は単なる発振ノイズだった音が、サンプリング音色になり急にリアルになって来た。
シンセサイザーも、モノシンセからポリフォニックになりどんどん音色がリアルになっていった。
こうなってくると、録音技術だけでなく高い音楽性が求められ始め、自分としてはかなり辛苦なって来た。



 

ここでついに8Trオープン・デッキを購入、それとミキサーも8chに変更。
しかし、このミキサーは安物だけあって音も悪いし機能が余りに乏しい。
使い難いことこの上なくてすぐに別の機種に買い替え。



1980年代終わりに、とうとうパソコンを導入した。 最初は、MSXと言う規格の8Bitパソコンだったが、これでコンピューターの基礎を学ぶ事が出来た。 しかし、このパソコンでMIDIを使っでシーケンサーを走らせると、音数の多い所へ来ると必ずリズムが遅れたり、エラーが起きてそれを回避する為に頭を使わなければならなかった。 仕方なくパソコンをX1Turbo2に買い換えたが、これも8Bitだったので殆ど変わらなかった。

   
 
これはMSX用のFM音源ユニット。
わりとDX-7ぽい音が出ると言うので買ったが、8音ポリしか出なくて辛かった。

この当時パソコンでシーケンサーを使った人は殆どお世話になったMPU-401
これはRolandのカタログだが、最初はRoland DGと言うメーカー名で発売された。


ここで遅ればせながらNECのPC9801 VM2を購入したが、これは当時、中古でも39万円もした。
そのくせメモリーは512kbしか積んでいなかったので128kbのメモリーを追加してやっとMS-DOSが動くようになった。
 
この頃もやはり4TrのカセットMTRは使っていた。
1台は、ベスタとか言うメーカーの安い奴。これは殆どメモ用。
もう一台はYAMAHAの4Tr
 




そして、とうとう単体のシーケンサーも導入したが、ディスプレイが小さくて、操作が難しくて殆ど使わなかった。
やがてパソコンのOSはWindows3.1に変わり、BalladeもWindowsに対応したのだが、今度はメモリー不足にいつも悩むようになってしまった。
 


最後に買った録音機材が8Tr MD MTR これはヤマハが最初に出したのだが、DATA・MDが高いしどこにも売っていないしで苦労した。
挙句は殆ど使われる事も無く押入れに片付けられてしまった。
大体、この頃は録音自体全然やらなくなってしまったからだ。





1990年代以降〜
90年代以降は全く録音機材は買わなくなってしまった。
何故かと言うと、音楽製作が全てパソコン上で出来るようになってしまったからだ。
その頃はパソコンの性能が毎月上がって行き半年毎に新しいCPUやらパーツやらが発売されるようになってしまい、パソコンの性能向上に追いつくのが精一杯だった。
それまでNECのPC9800シリーズを使ってきたが、1995年にWindows95が発売されるに及んでPC9801はその使命を終えた。
日本におけるパソコン普及の原動力であり、ビジネスでも趣味でもパソコンといえばPC98だったのが、その少し前から広がりだしたDOS/V(PC/AT互換機)がWindows95の発売とともに爆発的に使われ出し、急激にPC98のシェアを奪い去った。
それまで、パソコンのソフトはその機種に固有の物であり互換性が殆ど無いと言って良かったのだがWindows95からは、どのパソコンででも使えるようになりPC98である必要が無くなったのだ。
そして終に、NECもPC9801シリーズの製造を終わらせた。
ここに一つの時代の幕が下りたのだ。


 


現在 2000年〜
現在は、私も1998年から自作のDOS/V機を使い始め、もう何台のパソコンを取り替えたか判らない程だが、現状は常に不満だらけである。
これ程までにCPUのクロックは速くなり、メモリーもハードディスクの容量も増えたのに、昔のように音楽製作が出来なくなってしまった。
何故だろう?こんなに高性能なパソコンを使い、環境は整っているはずなのに?
ん〜ん、もしかしたら才能の枯渇? いやいや、最初から才能など持ち合わせていなかった。
じゃ、何だろう? 多分答えは、パソコンの性能に人間の能力が付いていっていないのだろう。
やたらOSが進歩したり、ソフトが高機能化したせいで、使い方が判らないのだ。
難しくなり過ぎてしまって、使いこなせないのだ!
今となっては、昔は良かったなどと嘆くしかないのだ。宝は持ち腐れるものなのだ。
で、結局、もう何年も音楽製作を行っていないないのが現状である。
この先、どうなるか知らないが、もしかしたら又出来るようになるかも知れない。
神のみぞ知るなのである。