こうしてヘッドは何とか出来上がったのだが、中身はカラッポでフタもないでは身も蓋も無いとは この事であるので、蓋をする事にした。 「どうせなら表面と同じようにアーチド・トップにしたいなぁ」等と贅沢な事を考えるおやぢ。 しかし、それにはある程度の厚さの板から削り出さなければならない。 どうしたものかとおやぢは考えたが、削りだしが出来る程の板を売っている所が思いつかない。 近所の材木屋とか銘木店に行ってみたが、メイプルとかケヤキとかの一枚板は異常に高価な上 一見さんには小売はしないとか言って断られてしまった。 たしかヤフーオークションでも売っていたが、メイプル単板が1万円近くしたはずだ。 困り果てて倅を連れて歩いていたら、家の近所の木工所が目に付いた。 通り掛かりに覗いて見ると、おっさんが端切れの板をドラム缶で燃していた。 よく見たら、丁度良さそうな板を踏みつけて割りながら燃しているではないか。 「あの〜、済みませんがその板を譲っては貰えないでしょうか〜?」 「え?こんなカスみたいのでいいのか? ここに出してあるので良ければ持って行っていいよ」 「本当ですか!では有り難く頂きます」と言って何枚か板を貰ってきた。 ところが一体これが何と言う材木なのかてんで見当が付かない。 まぁいいや、とギターの形に線を引いて切ってはみたが、どこから削れば良いのかさっぱり 判らない。かまわずにエイやとばかりにノミを入れたら、いきなり変な所が木目に沿って バリバリと割れてしまって大失敗。 泣く泣くその板を諦め、別の板をギターの形に切り抜いて、今度こそとやり始めたが、又もや 尖がった部分が欠けてしまって失敗。結局、貰った板を全部ダメにしてしまった。 「あ〜、もうダメや〜。仕方ない、ただの板で蓋をしよう」とあっさり諦めてしまった。 結局、何だか判らない板で蓋をして終わりにしてしまういい加減さ。 おまけに蓋をした継ぎ目にはあちこちに隙間が出来て見苦しい事この上ない。 そこをよせばいいのにパテで隙間を埋めたものだから妙なバインディングが出来ちゃった。 「え〜い、ままよ!」とばかりそのままにしてとうとう塗装を始めてしまうおやぢ。 適当にサンディングして元の色と同じような色をと思ったが、同じ色が出ない。 最初は、木目の見えるニスを塗ったのだが、余りにも色が違いすぎて失敗!全部剥がして やり直し。でも、次も色が変でやり直し。 結局、色が一番近かったのは100円ショップで買ったスプレーのラッカー。 何度か塗り重ねていい加減うんざりしてお終い。クリアラッカーで仕上げ。 あ〜、こんなにズサンで良いのだろうか? |