取り合えず内部はもうやりようが無くなったので、今度はヘッドをどうにかする番だ。 ヘッドは黒字に白い文字で「GTX」と書かれている。 「これを何とかしたいなぁ」おやぢはどうも最初からこれが気に入らなかったのだ。 で、最初は文字だけ黒く塗ろうかと思ったが、それじゃ益々厭らしい事になりそうだった ので、根性を決めて塗装を全部剥がしてしまう事にした。 「大丈夫かなぁ、上手く行くかなぁ」と恐る恐る塗装を剥がし始めた。 塗装を剥がすと、何とここも表面だけ薄いつき板がはってある!0.5ミリ程の板が ヘッド全面に貼ってあるのだ。多分、その下は質の悪いラワンだろう。 と言うことは、このギターのネックはラワン!何てぇこった! まぁ、素人にはラワンもマホガニーも区別が付かないだろうと言う舐めた根性丸出し! これでは良い音が出るわけがない! もういい、どうせ元はパチものの安売りギターだ、そこまでは望むまい。 塗装を剥がしたヘッドのつき板を綺麗にサンディングして仕上げにかかる事にした。 ところが黒い塗料が無いのだ!昨日のうちに買っておけば良かった。 さて、どうしよう?...その時、テレビに坊さんが映っていた。 「墨染めの衣か、ふふふ」おやぢは一瞬で黒の塗料の替わりに墨を使う事を思い付いた。 おやぢの頭の中には、墨で染めた木目の透けるヘッドのイメージが湧いていた。 ところがどっこい、そう上手く行くものでなかったのはすぐに発覚してしまった。 まだ、目止めの塗料がうっすらのこるつき板に水性の墨を塗ろうとしても全然塗れない。 それどころか、染みた所と弾いてしまう所でムラが出来て異様な状態が出現した。 塗っては剥がし、剥がしてはサンディングしたが一向に上手く行かない。 次の日も、また次の日も塗っては剥がしを繰り返していたのだった。 そのうち短気なおやぢはうんざりしてしまって、後もう少しと言うところでヤケを起こした。 「え〜い、面倒臭ぇ〜!マジックインキで塗っちまえ!」とムラになった所を塗りたくって しまったのでちょっと見は黒くなった。 ところが、表面にクリアーの塗料を塗り始めたらあっと言う間にボロが出始めた。 木目の透ける黒のあちこちに、透けていない黒のマダラがそこかしこ。 マジックインキは木目が透けないのであった。 しかし、もうここまで来てしまってはやり直すのは面倒である。 「いかんなぁ〜、折角の墨染めが台無しじゃ〜。こうなったら伝家の宝刀、Gibson デカールを貼ってしまえ!」とGibsonの補修部品としてカナダで売られている デカールを貼ってしまった。 |