LesPaul改造計画

第二話

早速、おやぢは郵便局で代金を振り込むと落札したギターが配達されるのを待った。
2〜3日すると宅急便屋が大きな箱を抱えてやって来て、送料が1300円だと言う。
「何だ、このギターは送料2回分と同じ価値しかないのか?」とおやぢは思った。
丁度その日は台風十号が来ていて、大雨が降っていたので箱がびしょ濡れだった。
そのギターは、ダンボールの箱に入っているだけだったので雨水が染み込んでヨレヨレ
になっていて、おやぢを大いに心配させた。
だが、箱を開けてみると中は濡れてはおらずおやぢの杞憂で終わった。
中に入っていたギターは、おやぢが思った程ボロくはなくてどちらかと言えば綺麗だった。
「お〜、なかなかどうして良いギターではないか!」
確かに、そのギターは傷ひとつ無い美品の部類に入るようなギターだった。
ただ、ピックアップのエスカッションが割れていて、スイッチのノブが無いのだが。
「そうだ、音はどんなか聞いてみないといかんな」
おやぢは小さなアンプにギターをつないでみた。  「ガリガリガリッ、ブチッ!!」
ジャックは接触不良ですごいノイズだ。おまけに、ピックアップの出力がしょぼくて
蚊の鳴くような情け無い音しか出て来ない。
「おやおや、何だこのしょぼい音は? その上フレットがビッているじゃないか」
おやぢがネックを灯りに透かしてみると、そのネックはまるっきり調整されておらず
フレットがミミズのようにのたくっている。
「うわ〜、ひどく粗悪なギターだなぁ。」おやぢは溜息をついた。
値段も値段だが、どうしようもない粗悪品を掴んでしまったのかと心配になった。
「まぁいいや、どうせ改造してしまうのだし、これなら失敗しても惜しくはないぞ」
おやぢはギターが粗悪だったせいで、綺麗なギターに刃物を入れる決心が付いた。
いよいよおやぢのギター改造が始まるのだ。


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