早速、おやぢは郵便局で代金を振り込むと落札したギターが配達されるのを待った。 2〜3日すると宅急便屋が大きな箱を抱えてやって来て、送料が1300円だと言う。 「何だ、このギターは送料2回分と同じ価値しかないのか?」とおやぢは思った。 丁度その日は台風十号が来ていて、大雨が降っていたので箱がびしょ濡れだった。 そのギターは、ダンボールの箱に入っているだけだったので雨水が染み込んでヨレヨレ になっていて、おやぢを大いに心配させた。 だが、箱を開けてみると中は濡れてはおらずおやぢの杞憂で終わった。 中に入っていたギターは、おやぢが思った程ボロくはなくてどちらかと言えば綺麗だった。 「お〜、なかなかどうして良いギターではないか!」 確かに、そのギターは傷ひとつ無い美品の部類に入るようなギターだった。 ただ、ピックアップのエスカッションが割れていて、スイッチのノブが無いのだが。 「そうだ、音はどんなか聞いてみないといかんな」 おやぢは小さなアンプにギターをつないでみた。 「ガリガリガリッ、ブチッ!!」 ジャックは接触不良ですごいノイズだ。おまけに、ピックアップの出力がしょぼくて 蚊の鳴くような情け無い音しか出て来ない。 「おやおや、何だこのしょぼい音は? その上フレットがビッているじゃないか」 おやぢがネックを灯りに透かしてみると、そのネックはまるっきり調整されておらず フレットがミミズのようにのたくっている。 「うわ〜、ひどく粗悪なギターだなぁ。」おやぢは溜息をついた。 値段も値段だが、どうしようもない粗悪品を掴んでしまったのかと心配になった。 「まぁいいや、どうせ改造してしまうのだし、これなら失敗しても惜しくはないぞ」 おやぢはギターが粗悪だったせいで、綺麗なギターに刃物を入れる決心が付いた。 いよいよおやぢのギター改造が始まるのだ。 |