毎日、多摩川の河川敷を見て歩いて思うのだが、自然の環境は日々変化し続けている。 特に河川敷のように、川の水量によって、地形から景観までが一夜にして変わってしまう不安定な場所の場合それが顕著だ。 河川敷では、長くて数年しか環境が一定ではない。下手をすれば、一年の間に何回も大水が出たりして植生から地形まで変わってしまう。 それでも、河川敷には豊な自然の生命が溢れているのは何故だろう? ワシにはそれが不思議でならない。 現在のポイントは、数年前の出水の後に形成されたものだ。その後も幾度か小規模な出水はあったが、とりあえず大きな変化はなく現在に至っている。 河川敷をよく見ると、もうあちこちで次の世代の樹木が芽吹き始めている。 多分それは、次に大水が出たら消えてしまうかもしれないが、中にはこのまま定着して成長し続けていくものもあるだろう。 何しろ、生え始めた場所が水際の一番不安定な場所だからだ。 常に根元を川の水に晒され、雨が降って増水するたびに流れの中になってしまう。 幹や枝にはゴミが引っかかり、しょっちゅう流れに痛めつけられている。 それでも成長し続けているのだ。 やがて根元に沢山の堆積物を溜め込み、そこに根を張り枝を茂らせて固定化していく。 そこには、また次の樹木が芽を出し根を張っていく。 何年持つか判らないが、次に大水が出て全てが無に戻るまで続けていく。 やがて昆虫が集まり、ポイントになっていく。 こんな営みが果てしなく続いて行くのだ。凄いなぁ、素晴らしいなぁ。 そんな若い柳の群生を見ていたら、細い柳の幹の上でノコとコクワが餌場の樹液を巡って睨みあいをしている現場に出くわした。 ノコの方がやや大きい。でもコクワだって引くに引けない。 全く動けない睨み合いが続く...ああ、面白いなぁ、どっちも負けるな! しばらく見ていたら、そばをカナブンが飛んで、一瞬で両者ともに落下して勝負は終わった。 どちらもチキンだったのだろう。カナブンくらいでビックリして... 土手の下のクルミの木まで戻ってきたら、珍しくノコがクルミの木の樹液場に来ていた。 それはそれは小さなノコだった。 恐らく、ヤナギの樹液の餌場を、大きなノコに奪われて仕方なくこのクルミの樹液を食べに来たのだろう。 今まで、ほとんどクルミの木でノコを見かけることは無かった。 そう言えば、今年はやけにノコが多いなぁ。当たり年なのだろうか? そう言えば、我が家で飼育している河川敷産ノコは、もう卵を産んでいたなぁ。 どれ位産むのだろうか? 楽しみである。